レジャーシーズンに思うこと(海の事故に遭遇)

防災

(今日の記事は少し長い。)

今のシーズン、海・川・山での事故が多くなる。
楽しいレジャー中、アクシデントが起こったときにどうすればいいのか、
何かが起こる前に未然に防ぐための知識や準備、それらはとても重要だ。
子供の頃、それを教えられた出来事があった。

それは家族旅行先の海で起こった。
父母が船で釣りに出かけている間、姉妹3人で海水浴を楽しんでいた。
そこは遠浅の海だった。
父母の乗った船が帰ってきたので私達は船の方に近寄っていった。

遠浅の海であっても船が頻繁に行き来するあたりは、海底部分がえぐられて急に水深が深くなる所がある。
しかしその頃(小学生)の私にはその知識がなかった。
それを知らず沖に向かい、突然足が届かなくなって慌てて引き返したが、末っ子の妹(6歳)は知らない間に私のあとをついて来ていた。

父母の乗った船が岸に着き、釣果の魚を見ていた時、旅館の窓から女性が大声で「誰か!誰か助けてあげて!人がおぼれています!!」と叫んだ。
末っ子が居ない!!
父母も私も次女もその時はじめて妹の姿が見えないことに気付いた。

女性が指さす波間に黒い頭が浮いたり沈んだりしているのが見えた。
父は血相を変え、妹の名を叫びながら一目散に海辺へ走り、そして泳いで妹の元に向かった。

妹はかなり沖に流されていた。
父がやっと近づいたその時、妹の体は海底に向かって沈み始めていた。
溺れるものはワラをも掴むというが、人は肺が海水で満たされると一気に沈んでいくらしい。父は一緒に引き込まれそうになったそうだ。

溺れる人を救助する時は体を掴んではいけない。(父はこれを知っていた。)
ロープなど使うのがよいが、この時そういうものはなかったので、父は妹の髪の毛を掴んで引き上げた。

引き揚げられた妹は意識がなく、体は血色を失い死んでいるように見えた。
「早く水を吐かせないと…」と近くに居た大人たちが心肺蘇生を始める。
何人もの人が代わる代わるするが意識は戻らない。
水も吐かず、時間だけがどんどん過ぎていく。
妹は口から泡を吐いていて、唇の色が真っ黒くなってきた。
「これはだめだ…」、周囲のみんながそう感じ始めていた。

その時、さっき旅館の窓から叫んでくれた女性が「私にやらせて!!」と海辺に走ってきて、すぐさま代わって心臓マッサージを始めた。
女性が心臓マッサージを始めてしばらくすると、妹の口から水が吹き出てきた。

意識が全く戻らないまま妹は救急車に運ばれ、父母も一緒に救急車に乗った。
「ちゃんと見てあげていなかった自分のせいだ」、私も次女もそう思った。
留守番中は「どうか助かって…」とただそれだけを祈った。

病院に続く道は対面通行であった。折りしも夏休みの日曜ということで救急車は渋滞の列に飲まれ、病院になかなか辿り着けなかった。
妹は救急車に乗ってからも意識が戻っていなかった。
父母にとってはこの時が人生の中で一番長く感じた時間だったそうだ。

渋滞の救急車の車内で、妹が「お・か・あ・さ・ん」と意識を取り戻した。
脳への血流が閉ざされていた時間が長いため、仮に助かっても植物状態か、脳に障害が残るだろう、と救急隊員は予測していたそうだが、妹は無事だった。
「奇跡だ!」ということだった。(以前に次女が飴玉を喉に詰めた時も奇跡的であったが。)

「溺れている」と通報してくれて、心臓マッサージで水を吐かせてくれた女性にあとでお礼を言いにいった。
この方が居なかったらおそらく助かっていなかった。妹の命の恩人だ。
(看護師のお仕事をされている、ということだった。)

色々な偶然が重なって事故が起き、色々な偶然が重なって助かることもある。

レジャー中の悲しい事故のニュースを聞くと、この出来事を思い出す。
あの時、周囲に居た大勢の人たちが手を貸して下さった。
このような場面に出くわした際は私も自分が出来る限りのことをしたい。
そのためには、何かあったときに何が出来るか、何をすればいいのか、
少しでも多く知識を持っておきたい。そして、
レジャーに行く前、行った際は様々なイマジネーションを働かせるのだ。
それは危険を事前に察知したり、準備を入念に行うことにつながるだろうから。

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余談
溺れた妹はそれから水恐怖症に陥り、一時はコップに入った水を見ることさえ無理になった。当然、洗顔や入浴も出来ず、雨の日の水たまりを見ることもまたぐことも無理だった。
まるでテレビドラマでも見てるような強烈なトラウマをしばし垣間見た。
何年もかかったが、その後、そのトラウマは無事に克服できた。

夏の海辺の写真



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