ペンフレンドとの再会(おいたちより)
以前の話はこちら
かつてのペンフレンド、婚約者でもあった彼と、同じまちに住みながら偶然に出会うこともなく、突然の婚約破棄から数年経た。
毎回彼を飛行場で送迎していた時刻になると空から轟く飛行機のジェット音。
他の便は気づかない、聞こえないのに、あれから何年たっても始発便と最終便の音は気付く、聞こえてくる。そして涙する。
歳は30代を越えたが、ずっと変わらないままの私だった。
そんなある日、まちで偶然彼と出会った。
開口一番「結婚したんだよね?」という彼の言葉にちょっと驚いた。
「結婚していない。」私が答えると、彼は驚いていた様子だった。
突然婚約を破棄したのは他の人と結婚するため…、彼はそのように感じていたのかもしれない。そうではなかったが、そう思われていたとしても仕方がない。
彼は「結婚した」ということだった。
あれから数年、本当にムシがよすぎることだけれど、心の奥では運命の糸がどこかでまたつながることを願う自分がいたので、正直とてもショックだった。
もう運命の糸は切れてしまったんだ…
「一生ひとりで生きていこう」とそれまでに張りつめてきていた心の糸が、プツッと切れた。
ほんの短い立ち話だった。
彼が幸せにやっているのなら、
私も自分が幸せになることを考えてもいいよね?!
…私は神さまに問いかけていた。
私は彼に対し、「これ以上のことはない」というほどヒドイことをした。
だから彼の結婚を、彼の幸せを、心の底から喜んでお祝いすべきなのに、なのに、こともあろうことか私の心には「私だってしあわせになってみせるんだ!」という妙な競争心と、妙な意気込みがこのとき芽生え始めていた。
そしてこの競争心と妙な意気込みは、それから後にとんでもないところまで発展する。(つづきはまた)