いけばな 写景盛花(しゃけいもりばな)
数年前までは「いけばな」というと、仰々しく堅苦しい、というイメージを持っていた。
ところが、お試しでお稽古を体験し「なんてモダンで楽しいのだ」とイメージがすっかり一変し、以来、小原流いけばなを習っている。
いつもお稽古で生けたお花を持ち帰り、家で復習しながら生け直している。
ある日、生け直した作品(ガマの穂)の葉が、日数経過により枯れてしまった。
この時私は、家の近所の草むらから雑草を取ってきて、代わりに生けてみた。
「雑草も生け花として十分いけるじゃないか~」と感動した瞬間であった。
先日、小原流のいけばな講習会に参加し、「写景盛花」という生け方を学んだ。
この「写景盛花」が、「雑草も生け花として十分いけるじゃないか~」のまるで再現であり、大変おもしろかったので今日はそのレポートを。
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「写景盛花(しゃけいもりばな)」とは
流祖である小原雲心が考案、平たい器(水盤)の中に、剣山を使って花を盛り、自然を再現するように生ける生け方。
水盤と剣山を使ったいけばなは今ではおなじみとなっているが、これは小原流から始まったそうである。(それ以前は床の間に背高く生ける瓶花中心だった。)
ということで、当日、講習会の会場には大きな水盤がたくさん準備してあった。
講師をしてくださったのは東京支部の馬場琰珠先生。
ユーモアを交えながらのとっても楽しいひとときであった。
まずは決められたかたち、寸法、角度に従って生ける入門時に学ぶ「花意匠」の復習。
写真は先生による花意匠。「たてるかたち」と「かたむけるかたち」。
花意匠はこの他に、ひらく、ならぶ、まわる、よそおい、と全6つある。
たてるかたち👆 |
かたむけるかたち👆 |
いよいよ先生が写景盛花を生けていく。
写景盛花にもいくつか種類があるのだが、自然の景観を描写して生ける「写景盛花自然本位」を生けていく。
さきほどの花意匠と違って、かたちが定められておらず自由に生けていく。
決まりがないため難易度が高く、本来は上級になって学ぶものだが、そういった概念を抜きにして楽しく思い思いに生けて欲しい、ということだった。
水盤上の限られた空間で、日本の自然、景観を再現するわけだが、箱庭を作るのではなく、植物の生態や季節感などを生かして小宇宙を作り上げる。
基本は、水盤上に花を盛って陸地と水辺のゾーンを再現し、自然の景観を描写していく。
出来上がった先生の作品。「写景盛花自然本位」
ユキヤナギが陸地、カキツバタとスイレンが水辺を描写している。
花材は
ユキヤナギ(※主・副・客)
カキツバタ
スモークツリー
スイレン
フトイ
こちらも「写景盛花自然本位」👇
花材は
ナツハゼ
サンキライ
ヤマシダ
リンドウ
タカノハススキ
写景盛花、身近にある野に咲く花、樹木を使って生けることが出来そうだ。
ぺんぺん草やねこじゃらし、ススキなど雑草を使って、ぜひ自分でも生けてみたいと思った。
※役枝(やくえだ)について。
過去記事でも触れたことがあるが、いけばなの基本のかたちの骨組み、構成の中心となる枝のことを役枝という。
小原流の役枝は、
主役の主枝(主)、主のゲストで作品をひきしめる客枝(客)の2つ。または、
主枝、主枝を引き立てる副枝、、全体のバランスをとり作品を引き締める客枝、の3つである。(「主・客」もしくは「主・副・客」という構成。)