葬儀屋さんが語った真実
四国に帰って事の始終を母に話す。
解剖するか?と医者に聞かれたこと、死んだことを誰にも一切話すな!ということで、私達だけで見送ったことを話した途端、母は、「お父さんはそんな死に方をするような生き方はしてきていない。ちゃんとお別れをしたい人がたくさん居ただろうに…、かわいそうに。」と嘆いた。
その次に「あんなにあなたのことを思っていたお父さんが、何も告げずに逝くわけがない。遺書とか何かあなたに残そうとしたはずだ。遺体をすぐに焼くなんておかしい。病院で死んだら普通「解剖しますか?」と聞いたりはしない。「解剖しますか?」というのは、死因におかしな点がある時だ。おかしなことが多すぎる。お父さんは殺されたんじゃないのか?」、母が言った。
だが、この時も私はまだ義母を疑ってはいなかった。
しかし、ひとつだけ気にかかっていたことがあった。
それは葬儀屋さんの「いろいろ事情がおありなようなので」「この地域では先にお骨にしてお別れをします」という言葉だった。
私はまず、あの地域で先にお骨にしてお別れする風習があるのかどうかを調べることにした。
調べた結果、どんなに調べてみても、そんな風習などなかった。
私は葬儀屋さんの電話番号を調べ、電話した。
「風習の話は本当の話ですか?」と尋ねた。
すると「実は、お義母様からそのように説明するよう頼まれました。色々事情があるのでそうしてくれ、ということでした。」と葬儀屋さんは本当のことを明かした。
義母には「枕経だけでもあげてさしあげてください。故人が成仏されないといけませんから、せめて枕経だけは。」とかなりお願いしたが拒否されたと話し、「あのようなお別れの仕方だと成仏されないかもしれません。どうか、どうか、お父様を十分に弔ってあげてください。」と葬儀屋さんは言った。
後でずっ~と気になっていたそうで、「お電話を下さりよかった。」ということだった。
思い返してみると、おかしなこと、おかしな話がたくさんある。
病院に着いた時、病院スタッフらは「お父さんはずっとあなたたちを待っていたのよ!」と言っていた。
医師は死因が不明だ、と言った。
なぜ義母は嘘をついてまでして遺体を早く焼いたのだ?
それに、義母が言っていた「書類」とは一体なんなのだ?
しかし、これらはおかしな話の「まだまだほんの序の口」であったのだった。(つづく)