思わぬ助っ人

おいたち, サスペンス, 父 STORY

父の借金だ、と義母が手書きのメモで提示した金融機関に問い合わせをする。
数社あり、全てサラ金だった。
死後一週間以上過ぎていたが、どの金融機関も父が死んだことを知らなった。

父名義の借金は存在した。
だが、債務者死亡ということで、「返済はしなくてよい」と説明を受ける。
債務者が死んだ場合、返済が免除になる保険(団体信用生命保険=団信)がかかっていたからだった。

各契約が、店頭での対面による契約であったのかどうか、私は尋ねた。
全ての契約が、対面なしのインターネットによる契約であった。

父が借りたものではない。
なぜなら、父はパソコンを持っていない、全く使えない。
それに、父が死ぬ間際に借りられている。それもかなりの大金。

死の直前に借りられていたお金は、電話で「借り入れ可能額を増額してほしい」と申し出があり、貸し付けたものだという。貸付金額が大きいので電話では無理ということで、手続きは店頭対面で行われたという。
そのとき父は死の淵にあった。誰かが父になりすましていたことになる。
だが父は死んでしまったので、それを証明する術はない。
なんにせよ、母が提示してきた借金については、借金0円になった。

返済せずに済んだ金額は、分かっているものだけで400万円ちょっと。
このお金が全て義母のふところに入ったわけである。

葬儀をしなかった、枕経もあげなかったのは、お金がなかったからだと思っていた。
でもそうではなかった。
とてもかなしく思った。

ちょうどこの頃、私のパソコンに驚くべき人からメールが届く。
それは昔の婚約者、ペンフレンドからのメールだった。

彼とは一度まちで出くわして立ち話した以降、偶然会うことさえなかった。(👉過去記事
彼が私のメールアドレスを知るよしなどない。
なのになぜ?
私は驚いた。

メールには「夫婦なかよく元気でやってます」といった近況が書いてあった。
私は届いたそのメールに、つい先日父を見送ったこと、これから色々なことを調べていかなければならなくなったこと、現状を綴って返信した。

彼から返信があった。
お悔やみと、これから色々と調べていく際に協力するということで、彼の友人(法律関係、金融関係の専門家)を紹介してくれた。
それ以降、彼らは色々助けてくれた。

メールアドレスが分かった理由、それは
高校の同窓会の掲示板であった。その掲示板に書き込みをした際、自分の氏名にメールアドレスのリンクを貼って投稿していた。
(お恥ずかしいことながら、その頃はインターネットにまだ慣れておらず、個人情報が筒抜けになることなど全く気付かずにリンクを貼っていた。

彼が古い友人と飲んだ際、「昔の彼女は今何してるんだろう?」って会話になり、半分酔って私の名前をインターネットで検索すると「なんと、ヒットしてしもうたがな」だったらしい。

思わぬ助っ人だった。
彼と彼の友人には本当にお世話になった。

私はときどき不思議なことを経験するが、タイミングといい、これもとても不思議な出来事であった。

季節はずれの雪に続き、これも父の企てのひとつ?と思えるような出来事であった。

消費者金融法改正により、現在はこの保険への加入は禁止されている。



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