時をかける めだか
めだか 緊急事態
昨日の日中、水槽底の砂に頭を突っ込んだ状態でもがいている めだか を発見。
すぐさま小さな容器(コンビニコーヒー容器)に引き上げたが、息も絶え絶え。かなり状態が悪い。
よくよく見ると尻尾の先が切れたようになっている。
どうやら尾ぐされ病と思われ。
尾ぐされ病は抵抗力のないめだかに菌が寄生、感染する病気で、過密飼育による水質の悪化や水温の急激な変化、ストレスなどが原因となったりする。
このめだかは生まれつきに背骨が少々曲がった奇形であった。
元々体質も弱かったのかもしれない。
尾ぐされ病の対処法だが、0.3~1%塩化ナトリウム水溶液で塩浴させるとよい。塩は天然塩を使う。
問題のめだかはエラの部分が赤くなっており、エラにも菌が繁殖し症状が進んだ状態と思われる。
症状が進んでいる場合、塩浴させても快方しないことが多い。
底に横たわり息も絶え絶えのめだか。
ひとつまみの塩を水槽に慎重に入れていく。
めだかを見守る私は、まるで「魚医」になった心境である。
それからは必死で見守り看病する。
その間めだかは、時々まるでこちらのその様子にこたえてくれるかのように一瞬元気になったかのように何度か泳いだ。だが、すぐにまた底に沈み息も絶え絶え状態になる。
どうやら末期に近いようである。
このような状態に陥っためだかにはこれまで何度も遭遇してきた。
しかし今回のめだかはこれまでのめだかとは少し違う様子を見せた。
なんとこのめだかは、苦しい中にありながら、妙に私と目が合うのである。
そして目が合う都度に「頑張ってます」とアピールしているように振る舞うのである。
しかも、その視線が熱い。
なにかしら、ずっと以前から知り合いだったような、不思議な感覚であった。
もしかしたらこのめだかとは、前世で恋人同士であったのかもしれない。
一瞬そんな風にさえ思えるほど、時々こちらを見つめてがんばるめだか。
そんなこんなで、魚医として1時間ほど見守り看病していたが、少し目を離した際に、とうとうお亡くなりになった。
目を離した隙に亡くなるとは、やはり、あのがんばりは私を見て必死で頑張っていたのか…。
長らくめだかを飼育しているので、ご臨終になることはこれが初めてではない。
救うことは出来なかったが、最後に共有した時間は臨終の際でありながら心が温まる不思議なひとときであった。
もしかしたら、時を超えて生まれ変わり、まだどこかで出会うのかもしれない。
そんな風に思えたりしたのであった。
※「魚医」という言葉は、韓国ドラマ「馬医」や「心医」にちなんで、私が造語したものである。
「心医」は韓国のある医者の生涯をえがいたドラマだが、主演のキム・ジュヒョクさんはつい先日、交通事故で亡くなられた。御冥福をお祈りします。