不思議な出来事(後編)

サスペンス, 父 STORY

法務局でだいたいの住所から地図を閲覧すると、その家の住所が分かった。
登記事項証明書を請求し、その中身を確認した。

驚きだった。
家の所有者は義母であった。
新築でありながら、「まるでお化けが出るんじゃないだろうか」と思えるような生気がなかった家、あれが義母の家であった。

土地が登記されたのは父の死の3カ月後、建物の登記は死後半年後の日付であった。

助っ人の方々に話によると、
義母が最初に私たちに書かせようとしていたのは「※遺産分割協議書」。
書類の名称を聞かれたことで娘たちに怪しまれていると思い、遺産分割協議書はあきらめて話を財産放棄に切り替えた。
義母は父死亡により家のローンが返済免除になることを目論んでいたが、私たちが遺産分割協議書や財産放棄にすぐに応じなかったので、父名義の家のローンを義母が支払わなければならなくなったのだろう、
ということだった。
あんたのおかげで、あんたたち姉妹のおかげでひどい目に遭った」と義母が言った意味が、やっと分かった。

その後、この登記事項証明書を土地家屋調査士である友人に見てもらった。
友人によると、売買の手続きが行われたのは父死亡とほぼ同じ時期、頭金として義母が約400万円支払っている、ということだった。
400万円…。
これはサラ金で返済免除になった金額と同じだった。
父はこの家のために死んだも同然に思えた。

それにしても、あの生気のなさからすると、父はあの家を喜ばしくは思っていないのだろう、
なんだかそんな風に思えた。

正直なところ、たったこれだけの情報で家が見つかるわけがない。最初はそう感じていた。
だが、まるで導かれたかのようにして家は見つかった。

私の気持ちが父に伝わったのか、父が教えてくれたのか、
今でも思うが、これは本当に不思議な出来事であった。

※遺産分割協議書:だれがどの相続財産を相続したか明記し、相続人の間で合意があることを証明する書類。
相続による不動産の所有権の移転登記では、この書類の添付が必要となる。