マリッジブルー(おいたちより)
前回の話はこちら
結婚を一ヶ月後に控えた頃、私はマリッジブルーに陥ってしまう。
このときの自分の心境を言葉で表すのはむずかしく、自身のことでありながら何故そのような状態に陥ってしまったのか自分でもよく理解できず、よって細かい心情などもよく覚えていない。
とにかくその時はなにかしら不安で不安でならなかった。
会いたい時にすぐに会えなかったことも不安の一因かもしれないが、それだけではなく、とにかく何もかにもが不安で不安でならない、そんな感じだった。
その気持ちはどんどん大きくなった。
そして結婚がほんとうに目前となった時、とうとう婚約破棄にまで至ってしまった。
彼は「結婚をするためには自分は今、一体何が出来るんだ?」と考え抜いた末、それまで勤めていた職場を辞め、私が住む町にやってきた。
「勤め先も住むところも見つけた、一緒に住もう」と。
にも関わらず、当時の私は、彼のその行動がとんでもない考えなしに思えてしまい、やっとの思いで訪ねてきた彼を冷たく突き離した。
そこまで思い、そこまでしてくれる人は居ない。
でもその時の私はそれが分からなかった。
その後、何度か彼の元を訪ねようとした。
しかし、彼をはじめとして、彼のご両親、周囲の方々に対し合わす顔もないほどひどいことをしてしまったことを思うと、「今さらあまりにもムシがよすぎる、むしろ迷惑かもしれない…」と思い、会いに行くことは出来なかった。
それからは同じ町に住んでいるにも関わらず、彼と私の距離は宇宙のはるか彼方の星と地球よりもっと遠くに離れてしまった。偶然出会うこともなかった。
「一生結婚せずにひとりで生きていこう」、またそう思うようになった。
ムシがよすぎる話だが、心の奥底では、いつかまたどこかで運命の糸がつながらないだろうか…、そんなことを望んでいた。
あの日が来るまではそう望んでいた。(続きはまた)
マリッジブルー **********************************************************
それまでにその言葉を聞いたことはあった。
でもそれに陥ってしまうとは思いもよらなかった。
後に知ったのだが、人は変化を望む一方で、変化を怖れる。そのため、結婚という大きな変化を前にして、マリッジブルーに陥ってしまうことがあるそうだ。
男女を問わず結婚間近のカップルに伝えたい。
無きにこしたことはないが、式直前にこういった心の変化も起こりうる。
そう知っておくことでマリッジブルーを撃退できるであろうから。
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