婚約(おいたちより)
これまでのおいたちはカテゴリ「おいたち」にあります。
前回の話は「出稼ぎ・前編」「出稼ぎ・後編」をご覧ください。
20代前半に結婚で失敗し、その後は「一生ひとり身で生きていこう」と思い始めていた20代後半。
中学生以来ずっと続いてきた文通は、時を経たその頃も変わらず続いていた。
そして、先の出稼ぎ騒動ではペンフレンドの彼によって私は救われた。
10年以上の時を費やし、彼は誰よりも私のことを良く知り、私のことを深く理解してくれていたことに気付く。
後に彼が、姓が違う私から届いた手紙(内容は「結婚しました!」という報告)を受け取ったときの驚きと衝撃について話してくれた。
私がバツイチであるにも関わらず彼の親御さんが「Sunちゃんを助けてあげなさい」と彼に言ってくださっていることも話してくれた。
それまでずいぶん遠回りをしてきたけれど、彼と私は婚約した。
婚約前、婚約中のお付き合いは新幹線や飛行機で移動しなければならないほど離れた距離であり、遠距離恋愛だった。
当時TVでは「僕は死にましぇん!」という台詞で有名な『101回目のプロポーズ』、中山美穂さんと大鶴義丹さん共演の『逢いたい時にあなたはいない…』というドラマが放映されていた。
また、JR東海のCMでは「あなたが会いたい人も、きっとあなたに会いたい」というキャッチフレーズで、遠距離恋愛の恋人たちが描かれていた。あのCMみたいに、毎回改札口や搭乗ロビーでうれし泣き、かなし泣き。
まるでドラマやCMを地でいくような、すてきな恋愛期間だった。
この時、数年以上会っていなかった私の父にふたりで会いに行った。
婚約を伝えると父はとても喜んでいた。
6月に結婚、彼の元に引越して、晴れて一緒に居られるようになる予定であった。(つづきは次回)