人騒がせな出来事― 誤飲
人騒がせな出来事― 誤飲
喉詰め、 誤飲 は危ない。
こどもの頃、バター飴をなめながら妹と部屋で遊んでいた。
寝転がってこそばし合いっこをしていると、「飴をなめながら寝転がったらいけません!」と母親に叱られた。
その声にびっくりした妹が急に目を白黒させて顔を真っ赤にし、次の瞬間パタっと倒れ、その後微動だにしなくなった。
飴がノドに詰まり息ができなくなってしまったのだ。
母親は妹の口を開けて飴を取り出そうとしたが飴はのどの奥につまったらしく取れなかった。
今度は足首をつかんで逆さ吊りにして背中をバンバン叩いたり、上下に揺さぶったりしたが飴が出てくる気配はいっこうになく妹の顔はどんどん真っ白になっていく。
救急車を呼ぶしかないが当時は極貧の長屋暮らしで家に電話はなく、長屋のご近所さんのお宅にも電話はなかった。電話は少し離れた所にあるたばこ屋の公衆電話だけだった。
母親は妹の足首を掴んで逆さ吊りのまま背中に背負って裸足で外に駆け出し、大声で「誰か119番してください!」と近所に助けを求めた。
その声に気付いた隣りのおばちゃんが119番通報をしに行ってくれた。
バター飴はノドの中で膨れてしまったらしく時間がたっても飴が出てくる気配はいっこうになく妹の顔色は白から青黒い色に変わっていって唇も紫色に…。
サイレンの音が近づいてきた。「やっとこれで助かる」と思った。
しかしそこに現れたのはなんと、消防車!であった。
皆が「え?!」と思ったその瞬間、母の背中から「お・か・あ・さ・ん」と妹の声が…。
やっと飴が溶けて喉から出てきたのであった。
母のあまりの慌てぶりに、おばちゃんは「てっきり火事だと思った」そうである。それから母親とおばちゃんは消防隊の人に平謝りしていた。
消防隊員の話だと、呼吸停止時間がかなり長く、無事だったのは奇跡的であったそうだ。
あとからしてみると、とんだ笑い話だがなんとも人騒がせな出来事であった。
しかし喉詰めは本当に危ない。参考までに↓
のど詰めの一般的な対処法
【背部叩打法】まず背中をたたく。
傷病者の頭を下げさせてから後ろから 左右の肩甲骨の間を続けて
何度も叩く。
【腹部突き上げ法(ハイムリック法)】腹部に圧迫を 与える。
傷病者の上腹部に後ろから腕を回して腕を組み、上腹部から胸部に
向かって締め付けるようにする。
幼児、子供がのどに異物が詰ったときには背部叩打法を行う。
子供をひざの上にうつぶせにして背中の中心を手の平で叩く。
腹部突き上げ法は行わない。
反応がなく意識のないときは人工呼吸を行いながら応急手当てを繰り返し行い救急車を待つ。
異物誤飲の場合、吐かせてはいけないものもある。(→洗剤、薬品類、油性マジックなど)