2020年 年越し
2020年 年越し
あっという間に 年越し 。
お地蔵さまに笠を被せてあげた訳ではないのだが、極貧の状態で年越しを迎えていた我が家に
じゃ~ん!!
食材の数々!!
写真が撮りきれずこれはほんの一部。
今我が家は笠地蔵さんが大勢訪れてくれたかのような状態。(ありがたや~)
これは昔私がタクシードライバーとして働いていた時の大先輩(以降「おっちゃん」)からいただいた大量の採りたて野菜や果物、食料だ。
おっちゃんは長年ベテランドライバーとして働きながら、非番の日は朝早くから畑に出て、土を耕し、たくさん野菜を作っていた。
「畑の野菜を子供と一緒に採りにおいで。」とよく声をかけてもらった。
親子で畑に伺い、じゃがい、さつまいも、とうもろこし、にんじん、…、おっちゃんと一緒に収穫した。娘は自分で収穫するのがとても嬉しそうだった。
「最近の子供は野菜がどんな風に成っているのかも知らん子が多いぞ。じゃがいもがブドウみたいに木にぶら下がってると思っている子も居る。」
おっちゃんはそう言いながら「ほれ、自分で掘ってみな。これは美味しいぞ~」と私たち親子に野菜の収穫をさせてくれた。帰りには収穫した野菜をいっぱい持たせてくれた。
その後私はおっちゃんと一緒に働いていたタクシー会社をある日突然解雇された。(記事『突然の解雇』)
解雇後もおっちゃんの畑には時々娘を連れて遊びに行った。
「わしはこどもの頃から勉強は全然出来ん、上の学校も行ってない。けど体は丈夫だったからよく働いた。」
「お金がなくてもいい。元気に過ごせていたらそれが一番や!」
それがおっちゃんの口癖だった。
私の解雇から一年ちょっと後に、タクシー会社は社長によって代行運転会社に売り渡された。
従業員をはじめ、車両、設備、もろともが売り飛ばされた。(タクシー業界では「身売り」と言う。)
身売りは時々見られることだが、あまりにも突然のことで、当時ドライバーとして働いていた人たちは大変だったそうだ。
ドライバー達はみんな仲が良かったが、身売り先で働く人、他タクシー会社に就職した人、全く違う業種に転職した人、皆バラバラになっていった。
それまで連絡が取れていたおっちゃんと連絡がつかなくなった。
おっちゃんに会おうと畑を何度も訪ねていったがそれから長らくおっちゃんと会うことはなくなった。
おっちゃんに会いたい!おっちゃんに会おうとその後も時々畑を訪ねた。
おっちゃんは元気にしてるだろうか?
おっちゃんは生きてるだろうか?
おっちゃんは私の母と一歳違い、80代に突入しているので心配だった。
今年10月、やっとおっちゃんの畑でおっちゃんを見つけた。
私が辞めたあとでタクシー会社は突然代行運転会社に身売りされてしまい、身売りからしばらくすると今度は代行運転会社がタクシー業を辞めてしまったので、タクシー会社自体が完全になくなってしまったこと、を話してくれた。
おっちゃんは身売りされる直前にちょうど定年を迎えたので、退職金を貰って退職することができたそうだ。
今は年金を貰いながら畑を耕しながら元気にやってる、ってことだった。
「お金がなくてもいい。元気に過ごせていたらそれが一番や!」
おっちゃんのいつもの口癖が出たw
「お母ちゃんや娘さんも元気でやっりょるんか?まぁみんな元気でいたらそれが一番や!また娘を連れて来いよ!」
「うん、分かった!また来るね!」
おっちゃんと携帯番号の交換をしたあと、そう言ってお別れした。
柿やミカンやさつまいも、野菜もいっぱいもらって帰った。
そう言ってお別れしたのが10月のことだった。
「また来るね!」おっちゃんにそう言ってお別れしたものの、その後は、つい先日まで郵便局で夜10時から朝6時まで短期の夜勤アルバイトをしていて、昼間はグーグー寝てしまっていたので、おっちゃんの畑になかなか行けなかった。
夜勤アルバイトがやっと終わり、今日12月31日、やっと娘と一緒におっちゃんの畑に行くことができた。
娘も小さい頃から「またおっちゃんに会いたい!」と話していたので、会えて大喜びだった。
小学校低学年の頃以来だから、15年以上経っている。
それでもおっちゃんと一緒に無花果の実を採ったこととかよく覚えていて、私もおっちゃんも忘れていたようなことさえ覚えていてびっくりした。
おっちゃんの畑には私以外にも一緒にドライバーとして働いていた人が時々訪れて来ることがあるそうだ。
おっちゃんの人柄ゆえのことだろう。
ドライバー時代も大ベテランなのに偉そうに言うことなど全くなくて、おだやかで優しい先輩だった。
今は無理でもいつか、おっちゃんには恩返ししたいな。
畑から収穫してきた野菜の枯れたところをむしりとったりしておっちゃんと野菜の掃除をしながら、タクシードライバー時代に「あんなことがあったよなー。」「こんなことがあったよなー。」と面白話に花が咲いた。
渡瀬恒彦のタクシードライバーの推理日誌じゃないが、タクシードライバー仕事ではときおり色々なハプニングが起こる。中には面白いハプニングも結構ある。
それらについて、またおいおいにブログに綴っていけたらいいなと思う。
もう少しで年が明ける。
今年はたくさんの野菜、食材、料理に囲まれて年越しを迎えている。
「お金がなくてもいい。元気に過ごせていたらそれが一番や!」
おっちゃんの言う通りかもしれない。
来年も皆が元気で過ごせますように。