「晴天の霹靂」(おいたちより)

おいたち, 仕事

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(まずは高校時代から)
この頃は進路について考え、決めていかなければならない。
当時、私はTVレポーターになりたかった。世界各国をまわり、ゲテモノを食しながら現地をリポートするTVリポーターになりたい!と思っていた。

当時だと「なるほど!ザ・ワールド」という番組の益田アナウンサー、現在だとタレントのイモトアヤコさんがその代表格だ。

イモトさんのように超巨大ゴキブリまで食すのはちょっと無理だが、高校卒業後は大学へ進学し、局アナウンサーをめざそうと考えていた。

ジャングルから中継するゲテモノ食いレポーターSunの画

両親の離婚で母子家庭となり、大学進学は経済的に不可能となった。
新聞奨学生(新聞の配達・勧誘:集金の仕事をしながら大学に通う)という方法をあたってみたが「男子でないとダメ!」ということだった。
クラスメートが「吉本興業が新人募集しよるぞ。お前、応募しろ!」と助言してくれた。

たしかにお笑いからアプローチしていくことも可能だ。
しかしあまりにも適性がなさすぎる。
吉本興業は進路の選択肢から外した。
そして就職することにした。

当時はまだパソコンが普及しておらず、女子の就職は珠算と簿記が必須だった。
生徒の大半が大学に進学する高校に通っていた私は珠算も簿記も全く出来ない。
そのため高校の卒業式を迎えてもまだ就職先が決まらずにいた。

そんなある日、母の知り合いのそのまた知り合い、という人が経営している会社で4月から雇ってもらえることになった。
社員10人足らずの小さな広告代理店、事務と広告のデザインが主な仕事だった。
仕事が暇な時は戸外に出て、上司がゴルフのパターや素振りを教えてくれた。
お昼やすみは座敷の部屋で、NHKの連続テレビ小説をみんなで見ながら昼食をとる、そんなとてもアットホームな会社だった。

就職して半年後の9月のある日、
朝いつも通り「おはようございまーす!」と出勤し、いつも通りに仕事をして、いつものようにお昼やすみに連続TV小説を見ながら昼食をとっていた。
そこへ部長がやってきて、
「会社、つぶれたぞ…」と言う。

その部長はいつも冗談ばかり言って、みんなを笑わせていたので、
「またまた~、部長ったら~そんな冗談を~。ワハハ」とみんなでウケていた。
部長は顔面蒼白になりながら「いや、本当なんだ…」とうなだれた。

え?ついさっきまでいつも通りだったし、どうして?信じられない…。
みんなポカ~ン、となっている。
「実はドッキリカメラでした~!」と看板が出てくるんじゃないかと思ったが、そうはならなかった。

部長が言うには、社長は債権者に追われることを恐れて昨晩のうちに夜逃げして行方知れずだという。その情報は取引先にも伝わり、全ての取引が停止し、今後の取引も一切停止になったという。ゆえに、事実上の倒産となったという。

「午前中ひとりで対応に追われていた。これからどうしたらいいものか…」
ちょうどTVから流れてきたNHK連続TV小説のエンディングのBGMと部長の話が絶妙にマッチしていて悲惨さが一層伝わった。

晴天の空に浮かんだ驚きの表情をみせる雲

 

私はまるで狐につままれたような感じであった。

 

「晴天の霹靂(へきれき)」というのはこういうことなのかっ!!
「狐につままれたような感じ」というのはこういう感じなのかっ!!
と、「狐につままれる」と「晴天の霹靂」を実際に体験したことに、いたく感動してしまっていた。
(そのように感動している場合ではない出来事なのだが)

かくして私は社会人半年目にして勤め先が倒産!という経験をする。
何度も言うが、それはまさに晴天の霹靂であった。(←しつこい)
(つづきはまた)