再婚(おいたちより)
前回の話はこちら
ペンフレンドの彼との再会から二ヶ月ほどたったある日のこと。
なにげに暇つぶしで行っていたパチンコ屋さんでいきなりフィーバーした。
しかし、フィーバーしている最中に落雷があり、パチンコ台の電源が落ちた。そして「電源が回復するまで今しばらくお待ちください。」という館内放送。
店内にはもうひとりフィーバー中の男性が居た。パチンコ店の店員のおじさんがそのフィーバー中の男性を連れてきて「この人と一緒にとなりの喫茶店でお茶して時間をつぶしておいで」と言う。「お互いに歳の頃もそう変わらず話も合うだろう」という店員のおじさんの気遣いであった。
店員にすすめられるがまま、となりの喫茶店でお茶していると、その人が「最近免許証入りのカバンを紛失した。免許証を再発行してもらうため免許センターに行かないといけないのだが、免許証を持っていないので車を運転できない。会って初めての人にこんなことを頼むのは失礼だが、免許センターまで送ってもらえないだろうか?」と言う。
自分で言うのもなんだが私は気がいい性格で、困っていると聞けば「お役に立てることがあるのなら…」と動いてしまう性分である。
このときも相手が「困っている」というのを聞いて、そのお役目を引き受けることにした。
免許センターに着いた。
相手が申請用紙に記入し終えるのを真横で待っていた。
名前○○…
生年月日…
うわっ、なんという偶然。
誕生日、私とおなんなじ日だ…
たまたまパチンコ店で同時にフィーバーし、落雷があり、お茶しに行って、でもってこの人と誕生日が同じ?!これって運命と違う???
アホな私はここで「運命」みたいなものを感じてしまっていた。
つい二ヶ月前に切れた運命の糸は本当の運命の糸ではなくて、もしかしたらこれが本当の運命の糸???とか、今思うと本当にアホのとおりであるのだが、その時の私は本当にそんな感じだった。
それから二ヵ月後、パチンコ店で出会ったこの人間と「結婚する」と宣言したら家族は大反対した。家族だけでなく周囲も大反対であった。
いくら周りが忠告、反対しても当時の私は反対すればするほど「火に油を注ぐ」ような状態であったという。
母もしまいには「これだけ言っても分からないのなら勝手にしなさい!結婚するのなら勘当します!二度と実家の敷居はまたぐな!それでもよかったら勝手になさい!」と言ったのだった。(まるで母と父の結婚時と同じ)
みんなが反対した理由は様々だったのだが、全員一致していたのは「出会いの場がパチンコ屋であったこと」「あの男は結婚しても家庭に落ち着くタイプではない」ということであった。
それでも私は周囲の反対を押しのけて結婚したのだった。
互いの誕生日に入籍し、出会ってから4ヶ月しかたっていない時点で結婚した。
ペンフレンドの彼と再会して半年後のことだった。
三十路を過ぎていた焦りと、ペンフレンドの彼に対する競争心、みたいなものもあった。
この人と結婚したら幸せになれるかもしれない、
でも、もしかしたらものすごく不幸になるかもしれない、
両方の思いがあった。
ある意味、「賭け」であった。(つづきはまた)