明子反撃!(おいたちより)
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いつも優しかった父。
しかし父は酒を飲むと豹変し、母が入れたお茶を一口飲んで「なんだ、これは!ぬるいじゃないか!!」とちゃぶ台がひっくり返る、そんなことが日常茶飯事の、まさに実写版星一徹であった。
そして母は、その父に全くはむかうことなく陰で涙する実写版星明子であった。
子供心にも「お母さんはどうしてやり返さないんだろう」とずっと思っていた。
しかし、たった一度だけ母は父にはむかった。
それはとても痛快な出来事であった。
中学生の時、父が電話で誰かと話していた。
中学生といっても女の直感ってあるんだろう。電話相手が女性で、父の浮気相手だと気付いた。しかし母に伝えることなく私は見過ごしていた。しかしある日、
あろうことか父は、母の目の前で浮気相手と電話のやりとりをし始めた。
当然、母も女の直感で気付いたようだ。
あの従順で何があってもはむかうことがなかったおとなしい母が、父の手から電話の受話器(昔なつかしい黒電話の受話器)をいきなり取り上げて、そして思いっきり父に投げつけた。
父は自宅ではいつも上半身裸(もしくはグンゼの肌着)で、下はパッチ履きのスタイルだった。(このあたりもまさに星一徹)
その日父は上半身裸だった。母が思いっきり投げつけた電話の受話器はモロに父の腹に命中して地面に落ちた。
父は自分の腹をさすりながらあっけにとられたような顔で母を見ている。
逆上するかと思ったが父にとってはあまりにあっけにとられる出来事であったらしい。
その瞬間だった。受話器が当たった父の腹に電話の受話器の形がくっきりと赤く浮き上がっているではないか!!
まるで漫画である。ほんとうに受話器そのまんまの形がアイロンプリントをしたみたいに父の腹についている。
もう、おもろ過ぎ!!(爆)
ちょっと離れたところで見ていたけど、腹を抱えて笑ってしまった。
しかも、母の初めての反撃がそれだったから余計におもろかった。
心の中で「母ちゃんやったね!!」と思った。
母の反撃は後にも先にもそれ一度だけだった。
これから数年後、我が家にはとても大変な事件が起こる。
事件の話はまた今度。乞うご期待。