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父の戸籍謄本

相続を承認するか、放棄するか、それを決定する猶予期間は3カ月。
だが、その期限内に父の財産を調べきることはとても不可能であった。

銀行、役所での照会には故人の戸籍謄本が必要であった。
しかし、父の戸籍がどこにあるのか、分からなくなっていた。

元々、父の戸籍は父の生誕地にあった。
父の生家はその昔、地方財閥であった。
生家はとっくの昔に没落して跡形も残っていなかったが、父は生家にこだわりを持ち続けていた。

父は私が幼少の頃から「お前の本籍地は〇〇〇、お前は〇〇家の子孫、〇〇家の長女」と私に教え込んだ。
おかげで私は、幼稚園児にして本籍地の住所番地をそらで言えた。
私が成長しても父のそれはずっと続き、うっとおしい!ウンザリと思えるほどであった。
父は、それほどまでに自分の生家や戸籍を大事に思い、誇りにしていた。

死後、父の本籍地に、戸籍の取り寄せを申請した。
住所はそらで覚えていたので、申請書類はすぐに書けた。

数日後、戸籍課から連絡がある。
「お父様の戸籍はこにはありません。」という。
ではどこにあるのですか?と聞くと、「それは分からない」という。
どこに戸籍が移ったのかは分かるので、そこに問い合わせ、申請するように、ということであった。

戸籍が移った地は、父が死亡した県にある町だった。
戸籍が移った時期は、父が「おかしなことに巻き込まれてしまったようだ」と言ってきた時と重なっていた。
ところがまた数日して、「ここに戸籍はありません」と連絡がある。

一体父の戸籍はどこにあるのだ?

義母に聞けば分かる。そう思い、義母に連絡し「父の戸籍がどこにあるのか教えてください」とお願いする。
ところが義母は「絶対に教えない。」と言う。
理由を聞いても「教えない。」と言って一方的に電話を切られてしまった。

戸籍課によると、このような場合、戸籍が移った地を転々と追っていくしかないという。
なので、次に戸籍が移った地に申請する。
すると、また「ここには戸籍はありません」という連絡。

一体どうなっているんだ?
普通、引っ越しをしたら住民票を異動するが、戸籍を移したりすることはない。
なのに、父の戸籍は転々としている。

助っ人(金融や法律の専門家)の方々曰く、こうやって戸籍を転々とするのは、借金を重ねて逃亡する輩(やから)の常套手段だという。
難波金融伝・ミナミの帝王」じゃないが、義母の背後に「金融や法律のダークな抜け道」を知る者がついている可能性があるという。
前妻から聞いた話もあり、その可能性は大だった。

これまでに父は結婚、離婚を繰り返したが、本籍を移したことは一度もなかった。
生家や戸籍を大切にし、誇りにしていた。
父はこのことを知っていたのだろうか?

結局、父は死亡までの3~4年あまりの間に、3回転籍していた。

父の戸籍謄本がやっと全部揃った。
相続を決定する期間内(3カ月)に全財産を調べることは無理なので、家庭裁判所に期間を延ばしてもらう申し立てを行い、それが認められた。(相続の承認又は放棄の期間の伸長の申し立て)

これ以降、私は父が死亡した地に赴き調査するが、さらなる事実が次々発覚していくのであった。(つづく)