パンダこパンダ
ものごころついた頃から家庭は実写版「巨人の星」。
酒に飲まれた実写版星一徹は突然ちゃぶ台をひっくり返す、
実写版星明子は毎日のようにぶたれても、一徹に言い返すこともやり返すこともなく、ただ泣いていた。
小学校高学年くらいの時、
「なぜお父さんと結婚したの?」と母に尋ねたことがある。
「あなたが大人になったら話してあげる」母はそう答えた。
父は私にはすごく優しかった。
他のきょうだいたちは父を恐れて話しかけることも近寄ることすらなかった。
しかし私は違った。
父を慕い「お父さん、お父さん」と甘えていた。
だからなのか、お父さんは私にはとても優しかった。
父は単身赴任が多かった。
父が家に居ない間は、父からもらったパンダのぬいぐるみが私のお父さん代わりだった。
毎日パンダに話しかけ、パンダと一緒に寝る。
パンダが涙でぐしょぐしょになる夜も結構あった。
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大人になって、意を決しパンダのぬいぐるみとサヨナラした。そのため実物はない。
ちなみに、その頃には目も鼻も取れてしまったモノクロパンダであった。(パンダは元々モノクロだがw)