自治会の思い出 前編
昔、私の実家は自治会から強制脱会となった。
『積み木崩し』の如く変貌した末の妹(過去記事)のヤンチャが原因だった。(真夜中に、住宅地の路上で、ヤンキー仲間とにぎやかにバドミントンを興じ、ご近所に迷惑をかけた。)
以降、ゴミステーション利用禁止、市報・ゴミ袋の配布中止など、色々困った。
自治会は古くは江戸時代の相互扶助的な組織(五人組・十人組)、戦時中の団結や思想統制を促すための組織(隣組)、これら慣習のなごりである。
強制的な加入・行事への参加、未加入への制裁(ゴミステーションの利用禁止、村八分、etc)などから、自治会を「問題あり」とする意見や見方もある。
しかしその一方で、自治会には近所のおじちゃん、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんたちがみんなで子供たちを見守る、そんな風景がたくさんある。
ご近所にありながら、互いの顔さえ分からないような環境ではこのような風景は望めない。
自治会は全世代に、地域の一員として活動する機会、チャンスを与えてくれる。そんな風にもみえる。
今回は、そんな『自治会』について綴る。
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15年ほど前に、今住んでいる団地に引っ越ししてきた。
入居の際「団地の自治会に必ず加入するように」ということであった。
それ以前住んでいたアパートは自治会がなく、ゴミの日は1kmほど離れた公民館のゴミ集積場まで捨てに行かなければならず大変だった。
自治会があるというのは私にとってはありがたいことだった。
団地に引っ越して以来、自治会長ご夫妻には親子ともども大変お世話になった。
困っていることはない?とよく声をかけてくれた。
自治会では団地周辺の草抜きや清掃、地域の一斉清掃、こどもパトロール、町民運動会、集会への参加etc、いろいろな行事があった。
私が引っ越してきたばかりの頃は、みんなで声をかけあって全員参加していた。
ご近所さんと色々おしゃべりをしながらの作業(井戸端会議)は楽しかった。
同年代のお宅のほとんどは「家を購入した」ということで、やがてお引っ越しされていった。
それから後、
「自治会を廃止するか存続するか」という議論が団地で沸き起こった。
行事に参加する人がだんだん減っていた。
ひとつは入居者の高齢化によるもの。
もうひとつは、新たに入居されてきたお宅の不参加。
自治会費の未払い、当番すっぽかし、それらはやがて「自治会は必要ない。廃止して。」という声に変わった。
これまで自治会の活動に参加してきた古くからの住人の間では「存続して欲しい」という声が多かった。お歳を召されている方々は特に、であった。
存続か、廃止か、何度も話し合いが行われた。
ある日、「自治会のこと、あなたはどう思う?」と自治会長さんに尋ねられた。
「自治会で協力して清掃しているおかげで団地の周りはいつも綺麗だし、ご近所さんと色々おしゃべりしながら、一緒に何かをするのも楽しい。自治会がある方がいい」と答えた。
超真面目に答えたが、実際のところ、いつもご近所さんと冗談を言い合ったりしながら、おもしろおかしくやっていた。
それは自治会長さんも同じだった。
「自治会、これからもあるといいね」自治会長さんはニコッと笑った。
自治会にはたくさん思い出がある。
なくなって欲しくはなかった。(つづく)