警察署で。

おいたち, サスペンス, 父 STORY

これまでの流れの中で、父の死に不審を抱いた私は警察署に相談する。
遠方であるがため、最初は電話での相談だった。
(これまでの流れは「父 STORY」、「Discovered」にまとめてある。だが内容があまりに豊富すぎるため、「Discovered」は『ゲゲゲの鬼太郎』の一反木綿のようになっている。)

電話で話を聞いてもらったのは現地警察署の警部だった。
現地に行った際、直接話を聞いてもらえることになった。

当日、警察署に行く前に、私は義母の勤め先に立ち寄った。
父の死後、父宅はもぬけの殻で義母の行方は分からなくなっていた。
だが、以前義母から勤め先を教えてもらっていた。
義母に直接会って、父の遺品の形見分けをお願いするつもりであった。
ひとりで行くのはこわかったので、この時はペンフレンドに同行してもらった。

応対に出て来た義母は、「ちょっと場所を変えて話をしましょう。場所を案内します」と言った。
私たちは素直に義母の指示に従った。

たどり着いた場所は県の警察署、私が相談に行く予定の場所だった。

(Photo by photoAC)

すかさず車から降りた義母は、一目散で警察署に駆け込み、「この人たちにしつこくつけ回されています!色々嗅ぎまわられています!助けて~!」と私たちを通報した。
警察にしてみれば、私たちは「つけ回し」の現行犯に見えたであろう。

あとで知ったのだが、義母は私が訪ねる以前から、警察にそのように訴えていたという。そのため、警察署内で事のあらましを説明するが、なかなか本当のことを信じてもらえなかった。

おまけに義母が横から「この人たちが言っていることは全部嘘です!」と言う。私も負けじと「この人が言っていることが全部嘘です!」と応戦する。
目の前の様子に警部は呆れている様子だった。
(なんで義母と同席させるのだ?!とこの時は心底思った。)

義母が席を外したあと、あらためて刑事と話をした。
電話であらかじめ伝えてあったが、もう一度これまでの流れを話し、その日現地で新たに分かった年金のこと、父名義の家があることも伝え、「父の死について調べて下さい」とお願いする。

刑事は、
瀕死であるにも関わらず病院に連れていかなかったことは「※未必の故意」にあたり、その他の状況証拠では義母は明らかにクロ。だが、確たる証拠がないため捜査はできない、という。
「解剖さえしていれば、こんなことにならなかったのに…。」と刑事。
解剖さえしていれば、刑事事件として立件し捜査に入れていた、と言う。

現段階では証拠不十分で、刑事事件としての立件は不可能。
まず民事裁判で義母を訴え、その裁判の中で「詐欺罪」など義母の罪を立証し、別件で逮捕。
民事事件から刑事事件へと発展しないと捜査はできない。
ということだった。

民事裁判は申し立てをした方(私:原告)が現地に出向かなければならず、裁判費用その他費用がかかる。
裁判を起こすのは私には不可能なことだった。

解剖しなかったことが本当に悔やまれた。
失意の元に、警察署をあとにしたのであった。(つづく)

※未必の故意(みひつのこい)
犯罪の実現自体は不確実ではあるものの、自ら企図した犯罪が実現されるかもしれないことを認識しながら、それを認容している場合を意味する。



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