人が好き(おいたちより)

前回のあらまし
・子供の発達障害 番外編「子どもに起こった出来事(全3編)」👉こちら
・夫が行方知れずになる 「Sunのすべらない話」👉こちら

夫は相変らず居所知れず、実質上はずっと母子家庭の状態であった。
そのため、ひとり親家庭のための制度(児童扶養手当、医療費の軽減、生活費の貸付など)を利用できないかと、役所に相談に行く。
しかし「夫と籍が入っている」ということで手続きを断られる。

「離婚したくても夫の所在が分からず、離婚もできない状態なんです」と事情を説明するが、「離婚してから来てください!」と全くとりあってもらえない。
何年にもわたり何度も相談に行ったがずっと門前払いであった。
ある日「それなら夫婦として生活していても籍さえ抜いていれば手続きが出来るのか?」と逆に問うてみた。すると「そうです!」とあっさり返答があった。(もちろんこういうのは不正受給である。)

hard-and-fast-ruleそれにしても、個人情報保護法の時もそうだったが「日本のお役所はなんて杓子定規なんだろう」と、つくづく思った。(海外のお役所がどうなのか知っているわけでもないのだが。)

杓子定規=古くは杓子の柄は曲がっており定規にはならなかったが、曲がった杓子を定規代わりにする=正しくない定規で計る意から、全てのことを一つの標準や規則に当てはめて処置しようとする、融通のきかないやり方や態度、そのさま。

役所の人が「失踪届、捜索願いを警察署に出せば手続きができる」いうので警察署に相談に行く。
しかし「たびたび知り合いが目撃しているというのであれば失踪届、捜索願いを出すことは出来ない」ということで、あえなく撃沈であった。

当時は家賃が少々高めの賃貸アパートで暮らしていた。そろそろ安い所に引っ越さなければ生活がやっていけなくなる。しかしこの家の契約者は夫である。
不動産会社に相談した。不動産会社の社長さんは「本来は契約者(夫)でないと引き払うことは出来ないが、事情が事情ですので…」ということで認めてくれた。引き払う際の修繕費なども「今は大変そうなので頂きません。その分をこれからの生活に役立ててください」と免除してくれて、「がんばってくださいね」と励ましてくれた。(お役所と違い)民間はなんて優しいんだ、と涙がちょちょぎれそうになった。

社長さんいわく、不動産のお仕事をしていると色々な人、色々なケースに出逢うそうだが、その中でも私は格段「お気の毒な人」であったそうだ。
数年以上後に、またこの不動産会社にお世話になる機会があったのだが、その時も私のことを覚えていてくれて「あの時の方ですね!お元気そうにされていて本当によかった!」と喜んでくださった。
すごく大変だった時に優しく接してくださり励ましてくださったことを、今でもとても感謝している。

それ以外でも、私はこれまでに本当に多くの方々に助けられている。
記事『長き入院生活』で、「私は運が相当良い」と書いたが、人との出逢いや人との縁においてもそれが言えている。私は本当に恵まれている。
そして、多くの方々の助けと色々な経験により、私は変わった。
私は昔からオクテでオタクで人付き合いも苦手で「将来は無人島でひとりで暮らしたい」と思えるような人間嫌いな面が少々あった。だが、いつしか人間が好きになり、人との出逢いを大切に思えるように変わっていた。

今の私は「無人島でひとりで暮らすのなんて絶対にムリ!」と思える。

私は人が好きだ。
人と付き合うことで傷つくこともあるけれど、人との付き合いで人間のあたたかさに触れ、幸せな気持ちになることもある。
ひとりぼっちでは得られない幸せな気持ち、あたたかさ。
きっと、様々な経験の中でそれらをたくさん得られたからであろう。

キラキラ光るイメージ
(Photo by photoAC)