思いもよらぬリンク(おいたちより)
前回の話はこちら
結婚してまもなくのことだった。
夫と共に外出中、昔私がアルバイトしていたビデオ屋さんの前を通りかかった。
ビデオ屋さんがあった場所は更地になっていた。
「ここに昔ビデオ屋さんがあったんだよ。私、そこでアルバイトしていたんだ」
そう言った瞬間、夫が「知ってるよ。」と言った。
「あ、そうなんだ、知ってたんだ。」
そう言ったとき夫が、
「何度も何度も付き合って~!って言ったのに断わり続けられたからね。」
と言ったのでビックリ仰天した。
しかし驚いたのはそれだけではなかった。
次に夫の口から出たのは「○○珈琲店で働いていたでしょ。それも知ってる」と言う。
「え?なんで?」
「俺、昔そこで働いていたから。Sunは気づいてなかったけど、一度店に(金を借りに)行ったとき、Sunを見かけたよ」
… …
…
夫の苗字は●●、
誕生日が同じ、
それに、あのアダルトビデオ片手にひつこく口説いてきたのが今の夫…、
…
ここですべてがつながった、リンクした。
私はそれまでに全く気づかなかった。
私がビデオ屋でアルバイトしていたのは10年ほど昔のことだ。
10年前、レンタルビデオを片手にひつこく口説いてきた男は短髪だった。
10年後、目の前にいる夫は武田鉄也みたいなロン毛だ。
はっきり言って10年前のビデオ男の顔などまったく覚えていない。
…
私は全く気付いていなかった…。
しかし夫は、パチンコ屋で私と出会った時から気づいていた、全て知っていた、という。
もし私がこの事実に気付いていたら結婚はしなかっただろう。
結婚するまでこの事実を明かさなかった夫はある意味、知能犯だと思った。
こうして、めでたくも夫婦となった私と、誕生日が同じ日のろくでなしの●●。
これから後のSunの運命やいかに。(つづきはまた)