自律神経 と 呼吸
自律神経 と 呼吸 。
前回記事で少し触れたが、自律神経 と 呼吸 には密接な関係がある。
まず神経の話から。
人間の神経は「中枢神経」と「末梢神経」があり、末梢神経は機能的には
「体性神経」と「自律神経」に分類される。
体性神経…自分の意志で体を動かしたりするとき働いている神経。
自律神経…自分の意志とは関係なく働いている神経。寝ている時もちゃんと呼吸し、胃や腸、心臓がたえず動いているのも自律神経のおかげである。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」、このふたつから成る。
交感神経と副交感神経はからだの中でたえずシーソーをしている。
シーソーがどちらに傾いているか(優位か)により、体内の機能は常に調節されている。
シーソーの状態をざっと表にまとめてみた。
自分ではどうにもならないことが並ぶ中、呼吸だけは自分の意志でコントロール可能だと分かる。
【交感神経優位】 | 【副交感神経優位】 |
昼間 | 夜間 |
瞳孔が大きくなる。 | 瞳孔が小さくなる。 |
血管が狭くなる。 | 血管が拡がる。 |
脈・心拍が増える | 脈・心拍が減る。 |
筋肉が固くなる。 | 筋肉がやわらかくなる。 |
興奮や緊張が高まる。 | リラックスする。 |
胃腸の動きが減る。 | 胃腸の動きが増える。 |
胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
吸気(息を吸う) | 呼気(息を吐く) |
早い呼吸 | ゆっくりした呼吸 |
それぞれの神経と呼吸について詳しくふれていこう。
【交感神経】
「昼の神経」 「戦いの神経」ともいわれる。
今の時代、戦いと言ってもピンとこないが、古来人間は戦って獲物をしとめ食し生きてきた。獲物をしとめるために目を見開き、神経を集中させる。筋肉が緊張していなければとっさに獲物に飛びかかれないだろう。
交感神経はこうして人間を活動しやすい状態にしている。
呼吸では胸式呼吸、息を吸う、早い呼吸で交感神経が優位となる。
寝起きで頭がぼ~っとしてやる気が出ない時は、交感神経を刺激する呼吸、胸式呼吸を意識して行うとよいだろう。
ラジオ体操の深呼吸が胸式呼吸なのも、理にかなっているわけである。
【副交感神経】今回記事のポイントである。
「夜の神経」「リラックスの神経」ともいわれる。
活動的に動いたあとは休息が必要だ。副交感神経は体と心を休ませ、リラックスさせている。
睡眠中や、リラックスしているときに働いている。
呼吸では腹式呼吸、息を吐く、ゆっくりした呼吸で副交感神経が優位となる。
気持ちがイライラする時、リラックスしたいときは副交感神経を刺激する呼吸、腹式呼吸を意識して行う。ゆっくり吸い、吐くときは更にゆっくり吐いていくとよい。ゆっくりと行うこと、が大切である。
表にもあるように、副交感神経は胃や腸の動きをつかさどっている。
胃腸の動きが悪く便秘がちな人は、副交感神経を刺激する腹式呼吸を意識して行って胃腸の動きが促すとよい。(女性は胸式呼吸が多いといわれているが、女性に便秘が多いのは実はコレ?と思えたが、真偽のほどは定かでない。)
前回記事の「吸ってから吐く」「吐いてから吸う」、一体どっち?については、
交感神経を刺激したいときは、吸うことに意識をおき、吐いてから吸う、
副交感神経を刺激したいときは、吐くことに意識をおき、吸ってから吐く、
と、刺激したい神経に応じ使い分けると良いだろう。
副交感神経を刺激する呼吸によって、精神を安定させる働きがある神経伝達物質(セロトニン)が増える、ということが分かってきている。
呼吸でそんな効果を得られるのなら、ぜひとも生活に取り入れないと。
なんていったってタダである。
…と思う私なのであった。