警察と検察
状況証拠で義母は明らかにクロ、だが警察は動けないという。
これは、捜査機関である警察と検察の役割、権限の違いによるものだ。
警察と検察の役割、権限の違い、それは何なのか?
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犯罪やトラブルが起きたときの判断は裁判所で行われる。
裁判には「民事裁判」と「刑事裁判」、大きくはこのふたつがある。
民事裁判:お金の貸し借りや近所トラブル、雇用問題など、個人(法人も含む)の間での争いである「民事事件」を解決する。
訴えを起こす人(原告)が裁判所に「訴状」を提出することによって始まる。
刑事裁判:殺人・窃盗など刑が科される行為を行った個人に対し、国家が刑罰を科すことを問うものである。
検察が裁判所に刑事事件として訴えを起こす(起訴状を提出する)ことによって始まる。
刑事裁判の流れは、
犯罪が起こると警察は情報収集を行い、証拠とともに内容書類を検察に送る。
検察は警察から送られてきた内容を調査し、裁判にするかどうか(起訴か不起訴か)を判断する。
犯罪を立証する証拠があり、被疑者の容疑がほぼ確実と判断されるなら、検察は刑事事件として起訴する。
(起訴する権限を持っているのは検察のみ。警察にはその権限がない。)
起訴によって被疑者の呼び名は「被告人」に変わり、刑事裁判が行なわれる。
検察は裁判で被告人の罪の内容を明らかにしていき、被告人にどのくらいの刑罰が科されるかが裁判で問われていく。
ちなみに、我が国における起訴された場合の有罪率は99.9%、起訴されればほぼ間違いなく有罪である。
いくら状況証拠で犯罪性が認められるとしても、犯罪を立証する証拠がなければ嫌疑不十分(犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分)で不起訴となる。
冤罪を発生させないため、当然といえば当然のことなのだが、そのため刑事事件として立件されなければ「警察は動けない」「動かない」ということにもなっているのだった。
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サスペンスドラマではおなじみの警察と検察。
検察官が裁判に必ず登場するのは知っていたが、こういった役目、権限の違いがあったということはそれまで知らなかった。
おかげで、サスペンスドラマがより分かりやすく、より楽しく観れるようになった。